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1. はじめに
ラベンダーは、紫色の美しい花と心を落ち着かせる香りで、多くの人に愛されているハーブの一つです。
観賞用としてはもちろん、ドライフラワーやポプリ、アロマオイルの原料としても使われるなど、用途は非常に幅広く、自宅の庭やベランダで育てる人も増えています。
中でも「種からラベンダーを育ててみたい」という方は年々増えており、ガーデニング初心者の間でも人気の高いテーマです。
苗から育てるよりもコストが抑えられ、発芽からの成長を見守る楽しさがあるのが、種まきの大きな魅力です。
しかし、ラベンダーは発芽率がやや低く、種まきの時期や方法を間違えると、うまく育たないこともあります。
そこで本記事では、「ラベンダー 種まき 時期」に焦点を当て、適切なタイミングや育て方のポイントを、初心者にもわかりやすく解説していきます。
ラベンダー栽培を成功させたい方は、ぜひ最後までお読みください。
2. ラベンダーの基本情報
ラベンダーはシソ科の多年草で、地中海沿岸を原産とする植物です。
耐寒性や乾燥への強さを持ち、比較的育てやすい植物とされていますが、日本の高温多湿な夏は少し苦手。特に関東以南の地域では、品種選びが非常に重要になります。
主なラベンダーの種類
ラベンダーには多くの品種がありますが、代表的なものは以下の3つです。
1. イングリッシュラベンダー(真正ラベンダー)
学名:Lavandula angustifolia
特徴:香りが非常に良く、アロマオイルなどにもよく使用されます。
開花時期:6月〜7月
耐寒性:強い
日本での育てやすさ:比較的育てやすいが、夏の高温多湿に注意。
2. フレンチラベンダー
学名:Lavandula stoechas
特徴:ウサギの耳のような花穂が特徴的。観賞価値が高い。
開花時期:5月〜6月(比較的早咲き)
耐寒性:やや弱い
日本での育てやすさ:温暖な地域向け。寒冷地には不向き。
3. ラバンディン系ラベンダー
学名:Lavandula × intermedia
特徴:イングリッシュと他種の交配種で、花穂が長く、やや大型。
開花時期:6月〜8月
耐寒性:中程度
日本での育てやすさ:やや丈夫で育てやすいが、香りはイングリッシュより劣る。
日本の気候に合った品種とは?
日本での栽培を考えるなら、以下のような選び方がオススメです:
寒冷地(北海道、東北など): イングリッシュラベンダー
温暖地(関東・近畿・中部など): ラバンディン系またはフレンチラベンダー
暑さが厳しい地域(九州・四国など): フレンチラベンダー(ただし夏越し対策が必要)
栽培地域に応じて適した品種を選ぶことで、発芽率や生育状況に大きな差が出ます。
これから種まきを始める方は、まずご自身の地域の気候を確認し、適した品種を選ぶことが成功への第一歩です。
3. 種まきに適した時期とは?
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ラベンダーを種から育てる際、「いつ種をまくか」は成功を左右する最も重要なポイントのひとつです。
ラベンダーは発芽に時間がかかり、発芽率もあまり高くないため、気温や湿度の条件が整ったタイミングを選ぶことが大切です。
春まきと秋まきの違い
ラベンダーの種まきには、大きく分けて「春まき」と「秋まき」の2つの方法があります。
春まき(3月〜4月)
発芽に適した気温:15〜20℃
特徴:気温が安定しやすく、発芽後の管理がしやすい。
注意点:夏越しが最初のハードル。特にイングリッシュラベンダーは高温多湿に弱いため、風通しの良い場所で育てる必要があります。
秋まき(9月下旬〜10月中旬)
発芽に適した気温:15〜20℃
特徴:冬を越えてじっくり育つため、翌年の春以降にしっかりとした株になる。
注意点:寒冷地では霜や凍結の影響があるため、室内や簡易温室での管理が必要。
地域別のおすすめ種まき時期
| 地域 | 春まき | 秋まき |
|---|---|---|
| 北海道 | 4月中旬〜5月中旬 | 不向き(冬が厳しいため) |
| 東北〜関東 | 3月下旬〜4月 | 9月下旬〜10月上旬 |
| 関西〜九州 | 3月〜4月上旬 | 10月上旬 |
※標高が高い地域や寒冷地では春まきが基本となります。
室内と屋外での違い
室内種まき: 温度と湿度がコントロールしやすく、発芽率が上がる傾向があります。特に早春や秋の気温が不安定な時期は、室内での育苗がオススメです。
屋外種まき: 気温が安定している時期であれば自然の気候で育てられますが、雨や寒暖差に注意が必要です。
種まきのタイミングは、品種選びと並んでラベンダー栽培の成功を左右します。迷ったときは、お住まいの地域の気候と、種のパッケージに書かれた推奨時期を照らし合わせて判断しましょう。
4. 種まき前の準備
ラベンダーの種まきを成功させるためには、準備段階がとても重要です。ただ土に種をまくだけでは発芽しづらく、適切な環境と道具、そしてちょっとした工夫が必要です。
この章では、種まき前に準備しておきたいものと、発芽率を上げるためのコツをご紹介します。
1. 種の保存方法
まず、ラベンダーの種は購入してすぐにまかない場合は、冷暗所で保存することが大切です。
高温多湿を避け、冷蔵庫の野菜室などで保管すると良い
密封できる袋や容器に乾燥剤と一緒に入れて保管すると安心
有効期限内の種を使用する(古い種は発芽率が下がる)
2. 必要な道具
以下の道具を事前に準備しておくと、スムーズに種まきができます。
| 道具 | 用途 |
|---|---|
| 育苗トレイまたはポット | 小さなスペースで種を発芽させるため |
| ピートモスや種まき専用培養土 | 排水性と通気性が良く、発芽しやすい |
| 霧吹き | 種が流れないようにやさしく水を与える |
| ラップやビニール袋 | 湿度を保つためのカバーとして活用 |
| ラベルやタグ | 品種や播種日を記録するために便利 |
3. 発芽率を上げるためのコツ
ラベンダーの種は発芽に時間がかかるうえ、発芽率も低め(30〜50%程度)です。以下のような対策で成功率を上げましょう。
① 低温処理(休眠打破)
ラベンダーの種は、低温にさらされることで休眠が解除され、発芽しやすくなります。
方法:湿らせたキッチンペーパーに種を包み、ジップロックなどの袋に入れて冷蔵庫(約5℃)で2〜4週間保管
ポイント:カビが生えないよう、定期的に状態を確認
② 土の選び方
排水性が良く、ややアルカリ性の土が理想
(市販の「ハーブ用土」または「種まき用培養土」がおすすめ)自作する場合は、赤玉土(小粒)6:ピートモス2:バーミキュライト2などの配合が目安
③ 水やりの注意点
種をまいた後は、霧吹きで優しく水を与える
土が乾きすぎても湿りすぎてもNG。湿り気を保ちつつ、カビを防ぐために風通しも確保
準備段階を丁寧に行えば、その後の発芽や育成がぐんと楽になります。焦らず、一つひとつ確認しながら進めていきましょう。
5. ラベンダーの種まき手順
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ここでは、ラベンダーの種をまく具体的な手順を、初心者の方にもわかりやすく解説します。コツを押さえながら、丁寧に進めていきましょう。
手順①:土づくり
ラベンダーは水はけのよい土を好みます。発芽率を上げるためにも、専用の用土または自作ブレンド土を使いましょう。
市販の場合:「種まき用培養土」または「ハーブ用の土」を使用
自作する場合:以下のブレンドが目安
赤玉土(小粒)6
ピートモス(または腐葉土)2
バーミキュライトまたはパーライト2
※土は使用前にふるいにかけて、石や木片などの異物を取り除いておくと安心です。
手順②:種のまき方
育苗トレイやポットに土を入れる
- 土は8〜9分目まで入れ、表面をならしておきます。種をまく
- ラベンダーの種は非常に小さいため、1つのセルに1〜2粒ずつが基本。
- 重ならないように注意しましょう。土をかぶせない(またはごく薄く)
- ラベンダーの種は好光性(光があると発芽しやすい)のため、土をかけないか、1〜2mm程度のごく薄い覆土でOKです。
手順③:発芽までの管理
温度管理
発芽適温は15〜20℃。春や秋の安定した気温が理想です。
室内で育苗する場合は、窓辺など明るくて温かい場所に置きます。
水やり
乾燥しないよう、霧吹きでこまめに湿らせる
土が乾ききらないよう注意しますが、水のやりすぎでカビが生えないよう換気も忘れずに。
ラップで湿度をキープ
発芽するまでは、ラップやビニール袋で簡易の温室状態を作ると湿度が保てて◎
ただし、毎日少しだけ空気を入れ替えるようにするとカビ対策になります。
発芽までの日数
ラベンダーの発芽には2〜4週間ほどかかることが多く、気温や種の状態によってはもっとかかることもあります。
焦らず気長に待つことが大切です。1週間で芽が出ないからといって失敗とは限りません。
このステップを丁寧に行えば、ラベンダーの種はきちんと芽を出してくれます。発芽後の管理については、次章で詳しく解説します。
6. 発芽後の育て方と注意点
ラベンダーの種が無事に発芽したら、次に待っているのは「育苗(いくびょう)」という育てるステージです。
この段階では、小さな芽を元気な苗に育てるための繊細なケアが求められます。ここでは、発芽後から定植までのポイントを解説します。
1. 間引きと植え替えのタイミング
間引きとは?
複数の芽が出たときに、元気な1本を残して他を抜く作業を「間引き」と呼びます。これを行うことで、1本あたりの栄養やスペースが確保でき、丈夫に育ちます。
本葉が2〜3枚出たころが目安(双葉の次に出る葉が本葉)
ハサミで根元をカットするか、慎重に引き抜く
植え替え(鉢上げ)のタイミング
本葉が4〜5枚程度になったら、小さなポット(直径6〜9cm)に植え替えましょう。
根を傷めないよう、スプーンなどで丁寧に取り出します。
2. 日当たりと風通し
ラベンダーは日光を好む植物です。発芽後は、十分な光を浴びさせることが大切です。
毎日4〜6時間以上の直射日光が理想
室内で育てる場合は、南向きの窓辺や植物育成ライトを活用
湿気がこもると病気になりやすいため、風通しのよい場所を選びましょう
3. 水やりのポイント
発芽後のラベンダーは、まだ根が浅く、乾きやすく、でも過湿に弱いという難しい時期です。
表面の土が乾いたら、鉢底から少し出る程度までしっかりと水やり
受け皿に水が溜まったままにしない(根腐れの原因)
夏場は朝の涼しいうちに水やりをするのが◎
4. 肥料の与え方
ラベンダーはもともと痩せた土地でも育つ植物なので、過剰な施肥は不要です。ただし、育苗期には少量の肥料があると生育が安定します。
液体肥料を10日に1回程度、薄めて与える
植え替え後は、緩効性肥料(ゆっくり効くタイプ)を少量置くのもOK
5. 病害虫対策
発芽後のラベンダーは比較的病害虫に強いですが、以下のような問題に注意しましょう:
立ち枯れ病(根元が黒くなって枯れる)
過湿や風通しの悪さが原因。水やりの頻度と環境に注意。
アブラムシ・ハダニ
室内でも発生しやすいため、葉裏をこまめにチェック。
見つけたら、手で除去するか、植物にやさしい殺虫スプレーを使用。
発芽から植え替えまでの管理を丁寧に行うことで、ラベンダーはしっかりと根を張り、育てやすい状態になります。
ここを乗り越えれば、あとは花を咲かせるまでの時間を楽しむだけです。
7.ラベンダーの種まき時期はいつ?: まとめ
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ラベンダーは、香りや見た目の美しさだけでなく、種から育てることでガーデニングの楽しさを存分に味わえる植物です。
しかし、発芽率の低さや高温多湿に弱いという性質から、種まきの「時期」と「方法」がとても重要になります。
この記事で紹介したポイントを振り返ってみましょう:
✔ 適切な種まき時期を選ぶ
春まき(3月〜4月):育てやすく初心者向け。夏越し対策が必要。
秋まき(9月下旬〜10月):丈夫な苗になるが、寒冷地では注意。
✔ 品種と地域の気候を考慮
寒冷地はイングリッシュ系、温暖地はラバンディン系やフレンチ系が適応しやすい。
✔ 種まき前の準備を丁寧に
土の選定、低温処理、道具の準備で発芽率アップ
ラベンダーの種は好光性なので覆土はごく薄く
✔ 発芽後の管理が育成成功のカギ
間引き・植え替えのタイミング
日光・風通し・水やりに注意
肥料や病害虫対策は控えめ&適切に
ラベンダーを種から育てるのは少し時間と手間がかかりますが、その分、発芽の喜びや花が咲いたときの感動は格別です。
正しい時期と方法で丁寧に育てれば、ガーデニング初心者でも美しいラベンダー畑を手に入れることができます。
ぜひこの記事を参考に、あなたの庭やベランダでも、ラベンダーの香りと癒しを楽しんでみてください。

