さつま芋の収穫時期はいつ？甘く育てる見極め方と保存方法

家庭菜園で人気のさつま芋。

ツルがどんどん伸び、葉も茂ってくると「いつ掘ればいいの？」と悩む方は多いのではないでしょうか。

収穫が早すぎると芋が小さく甘みも足りず、逆に遅すぎると霜に当たって傷んでしまうこともあります。

特に初心者はタイミングを見誤りがちで、せっかく育てた芋を無駄にしてしまうケースも少なくありません。

本記事では「さつま芋の収穫時期」をテーマに、植え付けからの日数の目安・葉っぱや茎で判断する方法・試し掘りの仕方・紅はるかなど品種ごとの違いをわかりやすく解説します。

さらに、収穫後に甘みを増やす寝かせ方（追熟）や保存のコツも紹介。この記事を読めば、家庭菜園初心者でもベストな収穫タイミングを見極め、美味しいさつま芋を長く楽しむことができます。

・さつま芋の収穫時期を見極める方法
・収穫が早すぎたり遅すぎたりした場合の失敗例と注意点
・紅はるかなど品種ごとの収穫適期と特徴の違い
・収穫後に甘みを増やす追熟方法と家庭でできる保存のコツ

さつま芋の収穫時期はどう判断する？初心者向けの見極めポイント
さつま芋の収穫後に甘くする保存と寝かせ方の基本
参考文献

さつま芋の収穫時期はどう判断する？初心者向けの見極めポイント

さつま芋は植え付けから120〜140日が収穫の目安とされますが、地域や品種、天候によって適期は前後します。

葉っぱや茎の色の変化、ツヤの有無は大きなサインです。また、初霜が降りる前に収穫を済ませることも大切。

初心者にありがちな「掘るのが早すぎて小さい」「遅すぎて傷んでしまう」といった失敗を避けるために、試し掘りの方法や紅はるかなど品種ごとの違いも含め、収穫時期を正しく判断するコツを詳しく解説します。

葉っぱの色やツヤでわかる収穫のサイン

さつま芋の収穫時期を判断する上で、最も分かりやすいサインの一つが葉っぱや茎の変化です。

葉の色が濃い緑から黄色へと変わり、全体のツヤが失われてきた頃が収穫の目安になります。

なぜ葉の状態が指標になるかというと、さつま芋は成長後期になると葉や茎に養分を送るよりも、地下の芋に養分を蓄えるようになるためです。

その結果、葉の緑が薄くなり、茎の力強さも弱まっていきます。これは「もう芋に養分がたっぷり送られている」という自然のサインなのです。

具体的には、植え付けから120日を過ぎる頃になると、以下のような変化が見られるケースが多く報告されています。

葉・茎の状態	収穫時期の目安
濃い緑色でツヤがある	まだ成長中。収穫は早い
一部の葉が黄色に変化	収穫時期が近づいている
全体が黄緑〜黄色でツヤがない	収穫適期

ただし、葉っぱの状態だけで判断するのは危険です。

日照や肥料の影響で葉が早く黄色くなる場合もあるため、葉っぱの変化に加えて「植え付けからの日数」や「試し掘り」での確認」を組み合わせるのが安全な方法です。

葉っぱの色やツヤは初心者にも分かりやすい「収穫サイン」ですが、それだけに頼らず、他の要素とあわせて総合的に判断することで、さつま芋の収穫時期を正確に見極めることができます。

植え付けから何日で収穫できるのか

さつま芋の収穫時期を数値で判断する際の基準は、植え付けからおよそ120〜140日後です。

これは多くの品種に共通する目安で、農業指導機関や種苗メーカーの資料でも繰り返し示されています。

植え付けからの日数を基準にすると、初心者でも収穫のタイミングを把握しやすくなります。

なぜ120〜140日が目安なのかというと、さつま芋の肥大成長には「積算温度」が関わっているからです。

一般的に、積算温度が2200〜2500℃に達すると芋の成長がピークを迎え、これ以上大きくならないとされています。

つまり、地域の気候や栽培方法によって日数に多少の差はあるものの、この範囲内で収穫するのが最も適しています。

具体的な品種別の目安を以下にまとめました。

品種	植え付けからの目安日数	収穫時期の目安
紅はるか	120〜140日	10月中旬〜11月初旬
安納芋	120〜150日	9月下旬〜12月上旬
鳴門金時	110〜140日	9月中旬〜10月下旬

ただし注意点として、日数だけで判断すると失敗する可能性があります。

気温が高めの地域では芋の肥大が早まる一方、冷涼地では遅れることもあるため、日数はあくまで「収穫適期を見極める目安」と考えるべきです。

最終的には、前章で紹介した葉の色やツヤ、そして試し掘りによる確認を組み合わせて判断すると安心です。

つまり、植え付けからの日数は初心者にとって分かりやすい目安であり、さつま芋の収穫時期を考える上での出発点になります。

ここに観察と実践を加えることで、最適なタイミングで収穫が可能になります。

紅はるかの収穫時期と他の品種との違い

さつま芋の中でも人気が高い紅はるかは、収穫時期を見極めることで甘さと食感が大きく変わる品種です。

紅はるかは植え付けから120〜140日を目安に、10月下旬から11月初旬に収穫するのが理想的です。

他の品種と比べるとやや遅めの収穫が向いており、しっかり追熟することで「ねっとり系」の甘みが強調されます。

紅はるかの特徴は、収穫直後は水分が多くホクホクした粉質ですが、1か月以上寝かせることででんぷんが糖に変化し、粘質で甘みの強い食感に変化する点です。

この追熟効果が特に大きいため、掘りたてをすぐ食べるよりも、保存を前提にした栽培が推奨されます。

他品種との違いを整理すると以下のようになります。

品種	収穫時期の目安	食感の変化	特徴
紅はるか	10月下旬〜11月初旬	粉質→粘質（追熟で甘み増）	甘さ・ねっとり感が強い
ベニアズマ	9月下旬〜10月中旬	掘りたてからホクホク	関東で定番、保存はやや短め
安納芋	9月下旬〜11月	ねっとり系、強い甘み	鹿児島特産、糖度が高い
鳴門金時	9月中旬〜10月下旬	ホクホク系	徳島産が有名、焼き芋向き

このように、紅はるかは他の品種よりも「追熟による味の変化」を強く感じられる点が最大の魅力です。

家庭菜園で栽培する場合は、収穫をやや遅めにして十分に寝かせることで、本来の甘さを最大限に引き出すことができます。

つまり、紅はるかは収穫時期と保存方法の工夫次第で味が大きく変わる特別な品種であり、他のさつま芋以上に「待つ楽しみ」があるのです。

収穫が早すぎるとどうなる？失敗例と注意点

さつま芋の収穫時期を誤って早掘りしてしまうと、芋の大きさや味に大きな影響が出ます。

早すぎる収穫は小ぶりで甘みの少ない芋になりやすく、貯蔵性も下がるため注意が必要です。

理由として、さつま芋は収穫直前の時期に最もでんぷんを蓄積し、その後の追熟によって糖に変わります。

十分に肥大する前に掘ってしまうと、でんぷんの量が足りず、甘みが乗らない状態で終わってしまうのです。

また、芋が小さいため料理に使いにくく、保存しても水分が抜けやすくなります。

実際の失敗例としては以下のようなケースが多く見られます。

失敗例	原因	結果
葉っぱが青々としている段階で掘った	成熟前で養分が行き渡っていない	小ぶりで甘くない
植え付けから90日程度で収穫した	成長日数が足りない	味が薄く水っぽい
品種特性を無視して同じ時期に掘った	紅はるかなど晩成品種は遅めが必要	食味が安定しない

こうした失敗を防ぐためには、葉の色や茎のツヤの変化を観察しつつ、植え付けから120日以上を目安に試し掘りを行うのが効果的です。

また、紅はるかのように「晩成型」の品種は、他の芋よりも遅めに収穫する意識が大切です。

つまり、収穫が早すぎると小さく甘みのない芋になりやすいため、日数の目安を守り、試し掘りで確認することが失敗を防ぐ最大のポイントです。

試し掘りで収穫時期を確かめる方法

さつま芋の収穫時期を正確に見極めるために、初心者でも実践しやすいのが「試し掘り」です。

植え付けから120日前後になったら、株を一部掘って芋の大きさを確認するのが最も確実な方法です。

なぜ試し掘りが有効かというと、気候や土壌条件によって芋の成長スピードが大きく変わるためです。

同じ品種でも、暖地と冷涼地では収穫適期に2〜3週間の差が出ることがあります。

日数や葉の変化だけでは判断が難しいため、実際に掘って確認することが失敗を防ぐカギになります。

試し掘りの具体的な手順は以下の通りです。

手順	内容	ポイント
1	収穫予定の1〜2週間前に行う	植え付けから110〜120日目が目安
2	畝の端や数株だけを掘る	全体を掘らず確認用にとどめる
3	芋の大きさ・形を観察する	中〜大きめになっていれば収穫適期
4	まだ小さい場合は掘らず土を戻す	さらに10日〜2週間待つ

例えば紅はるかのように晩成タイプの品種は、120日ではまだ小さい場合があり、130日以降まで待つことで甘さも増してきます。

逆に鳴門金時などの早生タイプは、120日前後でも十分なサイズになることが多いのです。

つまり、試し掘りは「収穫のリハーサル」のようなものです。

植え付けからの日数・葉のサインとあわせて行うことで、初心者でも収穫時期を見誤らず、さつま芋を一番おいしい状態で収穫することができます。

さつま芋の収穫後に甘くする保存と寝かせ方の基本

収穫したさつま芋はすぐに食べるよりも「寝かせる（追熟）」ことで甘さが増します。

そのためには、収穫後の土付き保存・数日間の乾燥・温度と湿度の管理が重要です。

特に家庭菜園では、新聞紙や段ボール、発泡スチロールを使った手軽な保存方法が実践できます。

本章では、キュアリングによる傷口の保護、13〜15℃での保存の重要性、家庭でできる保存期間の目安を紹介。

初心者でも実践できる「長持ち＆甘さアップ」の手順を分かりやすくまとめます。

収穫後どのくらい保存できるのか

さつま芋の収穫時期を迎えた後、気になるのが「どのくらい保存できるのか」という点です。

家庭での保存はおよそ2〜3か月が目安ですが、条件を整えれば半年以上の長期保存も可能です。

なぜ保存期間に差が出るかというと、さつま芋は生きている根菜であり、収穫後も呼吸を続けているからです。

温度や湿度が適切でないと水分が抜けたり、低温障害を起こして傷んだりしてしまいます。特に10℃以下では低温障害が発生し、黒ずみや腐敗の原因になるため注意が必要です。

実際の保存期間の目安は以下の通りです。

保存条件	保存可能期間	ポイント
常温（13〜15℃・湿度80〜90％）	約2〜3か月	新聞紙や段ボールで管理
穴貯蔵（地中保存）	約4〜6か月	温度変化が少なく長期保存向き
定温管理（産地の専用施設）	翌年夏頃まで	13℃前後で湿度90％以上を維持

例えば、千葉県や鹿児島県などの産地では、専用の貯蔵庫で温度・湿度を厳密に管理し、翌年の7〜8月まで出荷しています。

一方、家庭菜園では冷蔵庫は避け、段ボールや発泡スチロール箱に新聞紙で包んで保存するのが現実的です。

さつま芋は正しい環境で管理すれば長期保存が可能ですが、家庭では2〜3か月を目安に食べきるのが安全です。

特に収穫後すぐよりも、追熟を経て甘さが増したタイミングで食べるのがおすすめです。

甘さを引き出す追熟（寝かせ方）のコツ

さつま芋は収穫してすぐに食べるよりも、一定期間「寝かせる（追熟）」ことで格段に甘さが増します。

収穫後は数日間の乾燥処理を経て、13〜15℃・湿度80〜90％の環境で1〜2か月保存するのが理想的です。

追熟で甘さが増す理由は、芋に含まれるでんぷんが時間をかけて糖に変化するからです。

特に紅はるかや安納芋のようなねっとり系の品種は、追熟による味の変化が大きく、収穫直後はホクホク感が強くても、1か月以上経つとしっとり甘みのある食感に変わります。

追熟の具体的な手順は以下の通りです。

手順	内容	ポイント
1	収穫後2〜3日、風通しの良い日陰で乾燥	土を軽く落とし、水洗いはしない
2	傷がある場合は「キュアリング」処理	30〜35℃・湿度90％で3〜4日
3	新聞紙に包み段ボールや発泡スチロール箱へ	過乾燥や低温を防ぐ
4	13〜15℃の場所で保存	冷蔵庫は避ける
5	2週間〜1か月後から食べ始める	甘みが安定して増す

特に傷がついた芋はカビや腐敗が発生しやすいため、必ず乾燥とキュアリングを行ってから保存するのが重要です。

また、低温障害を避けるため、10℃以下の場所や冷蔵庫には絶対に入れないようにしましょう。

つまり、追熟は「待つことで美味しさを引き出す工程」です。

初心者であっても、新聞紙や段ボールを活用するだけで十分に実践可能であり、家庭菜園で収穫したさつま芋を甘く楽しむ秘訣となります。

家庭でできる簡単な保存方法

さつま芋は正しい方法で保存することで、美味しさを長く保つことができます。

新聞紙や段ボールを活用し、13〜15℃の常温環境で湿度を保ちながら保存する方法が家庭向けに最適です。

理由は、さつま芋は低温に弱く、10℃以下では低温障害を起こして黒ずみや腐敗が進むからです。

冷蔵庫は適していないため、常温での保存が基本になります。

一方で高温や乾燥も品質を劣化させるため、通気性と湿度のバランスを取ることが重要です。

具体的な家庭用保存の方法を整理すると以下の通りです。

保存方法	手順	ポイント
新聞紙に包む	1本ずつ包んで乾燥を防ぐ	まとめて包むと蒸れて傷みやすい
段ボールに入れる	包んだ芋を並べて保存	小さな穴をあけて通気を確保
発泡スチロール箱	新聞紙で包み、箱に入れる	保温性が高く、冬場に有効
床下や納戸	直射日光を避けて常温保存	温度が安定する場所を選ぶ

例えば、収穫後に数日乾燥させた芋を新聞紙で包み、段ボールに入れて涼しい室内に置く方法は、初心者でもすぐに実践できます。

冬場に冷え込みが厳しい地域では、発泡スチロール箱に入れて保温することで温度を安定させると効果的です。

つまり、家庭でのさつま芋保存は「低温を避け、湿度を守り、通気性を確保する」ことが基本です。

冷蔵庫に入れるのではなく、新聞紙・段ボール・発泡スチロールを使って環境を整えるだけで、甘みを引き出しながら2〜3か月は美味しく楽しめます。

さつま芋を長持ちさせる温度と湿度の管理

さつま芋を長く保存するために欠かせないのが、温度と湿度の管理です。

最適な保存環境は13〜15℃の温度と80〜90％の湿度で、これを守ることで2〜3か月、条件が整えば半年以上保存することも可能です。

なぜこの温度帯が重要かというと、さつま芋は低温に弱い性質を持っているからです。

10℃以下になると低温障害を起こし、表面が黒ずんだり内部が腐敗したりする危険があります。一方で20℃を超えると呼吸が活発になり、芋の水分や養分が失われやすくなります。

つまり、低すぎず高すぎない「13〜15℃」が最も安定するゾーンなのです。

湿度についても同様で、乾燥しすぎると芋がしぼんでしまい、逆に湿度が高すぎるとカビや腐敗の原因になります。

そのため、新聞紙で包んで段ボールや発泡スチロールに入れる方法が有効です。これにより適度な湿度を保ちながら、通気も確保できます。

保存環境の目安を表にまとめると以下の通りです。

環境条件	保存期間の目安	注意点
13〜15℃・湿度80〜90％	約2〜3か月	最も理想的な環境
10℃以下	数日〜1週間で劣化	低温障害で黒ずみ・腐敗
20℃以上	1か月未満	呼吸量増加で傷みやすい

つまり、さつま芋を長持ちさせるには「低温障害を避けつつ乾燥させない」ことがカギです。

床下や納戸など温度変化が少ない場所を選び、新聞紙や段ボールを使って温湿度を調整すれば、家庭でも十分に長期保存が可能です。

保存後の楽しみ方と加工への活用例

さつま芋は、収穫後に正しく保存することで甘みが増し、さまざまな料理や加工品に活用できるようになります。

保存後のさつま芋は焼き芋や蒸し芋といった定番から、干し芋やスイーツへの加工まで幅広く楽しめるのが魅力です。

保存して追熟を経たさつま芋は、でんぷんが糖に変化して甘みが強くなります。

特に紅はるかや安納芋は、1〜2か月寝かせることで糖度が高まり、焼き芋にするとねっとり濃厚な味わいになります。

また、ホクホク系の鳴門金時やベニアズマは、天ぷらや大学芋にすると素材の良さが引き立ちます。

加工食品として人気が高いのが「干し芋」です。

蒸したさつま芋をスライスして乾燥させるだけで保存性が高まり、長期間おやつや非常食として楽しめます。

さらに裏ごししてスイートポテトやケーキに使えば、家庭でも本格的なスイーツ作りが可能です。

保存後の活用例を整理すると以下のようになります。

活用方法	特徴	向いている品種
焼き芋・蒸し芋	甘みを最大限に楽しめる	紅はるか・安納芋
天ぷら・大学芋	ホクホク食感を活かせる	鳴門金時・ベニアズマ
干し芋	保存性が高くおやつに最適	紅はるか
スイートポテト・ケーキ	菓子作りに活用可能	全品種対応