ドライフラワーは、花の美しさを長く楽しめる人気のインテリアアイテム。なかでも、シリカゲル(乾燥剤)を使った方法は、花の色や形をそのまま残せるとして話題です。
しかし、いざ挑戦してみると――
「花が茶色くなってしまった…」
「カビが生えた!」
「花びらがシワシワに…」
といった「失敗した!」という声が意外と多く聞かれます。
実は、シリカゲルを使ったドライフラワー作りには、ちょっとした落とし穴や見落としがちなポイントがあるのです。
この記事では、「ドライフラワー×シリカゲル」でよくある失敗例とその原因を徹底解説し、初心者でも失敗しにくい花材や、成功するための具体的なコツをご紹介します。
失敗の理由を知れば、次はきっと成功できる。
あなたの手で、美しくて長く楽しめるドライフラワーを作ってみませんか?
第1章:シリカゲルとは?ドライフラワー作りに使う理由
ドライフラワーを美しく仕上げたいとき、多くの人が選ぶ方法のひとつが「シリカゲル」を使った乾燥法です。
この方法は、ただ自然に花を吊るして乾かす「自然乾燥」とは違い、色や形をなるべくそのままに残せる点が大きな魅力です。
シリカゲルとは?
シリカゲル(Silica gel)は、非常に高い吸湿力をもつ乾燥剤の一種です。お菓子のパッケージなどに入っている小さな袋を見たことがある方も多いと思います。
ドライフラワー用としては、以下の2種類がよく使われます:
種類 | 特徴 |
---|---|
青色シリカゲル | 水分を吸うと青→ピンクに色が変化。再利用しやすい。 |
白色シリカゲル | 色の変化がないが、花の色に干渉しにくく繊細な仕上がり。 |
なぜシリカゲルを使うのか?
ドライフラワー作りでシリカゲルを使う最大の理由は、「短時間で、花の色や形をきれいに保ったまま乾燥できる」からです。
自然乾燥の場合、以下のような問題が起こりやすいです:
花びらが垂れてしまう
色がくすむ・黒ずむ
カビが発生する可能性
一方で、シリカゲルを使えば、
花の色が鮮やかに残る
立体的な形をキープできる
乾燥までの時間が早く、数日~1週間程度で完成する
といったメリットが得られます。
第2章:シリカゲルでよくある失敗例5選
シリカゲルを使えば、色鮮やかで美しいドライフラワーが作れる――これは事実です。
しかし、実際に挑戦した人の中には「うまくいかなかった」「思った仕上がりと違った」と感じた方も少なくありません。
ここでは、よくある5つの失敗例を紹介し、なぜそれが起きるのかを簡単に解説します。
失敗1:花が茶色く変色してしまう
原因例:
高温多湿な環境で乾燥した
花を摘んだ時点ですでに傷んでいた
シリカゲルの吸湿力が落ちていた(再利用品など)
ポイント:
花が変色する最大の理由は「乾燥までに時間がかかりすぎる」ことです。乾燥の途中で花が酸化してしまうと、色が茶色っぽくくすんでしまいます。
失敗2:花びらが縮んだ・くしゃくしゃになった
原因例:
シリカゲルを一気にかけすぎた
花びらが重なっていた
花が繊細すぎた(例:チューリップ、ダリアなど)
ポイント:
花びらは非常にデリケートです。花の隙間にもシリカゲルを優しく入れていかないと、乾燥時に圧力がかかり変形してしまいます。
失敗3:水分が完全に抜けずカビが生えた
原因例:
乾燥時間が足りなかった
密閉容器でなかった
花に水分が多く残っていた(花瓶から出してすぐ使用など)
ポイント:
乾燥不足は、見た目にはわかりづらいことも。触って冷たい、または重みを感じる場合は、まだ水分が残っている証拠です。
失敗4:花の形が崩れた・潰れた
原因例:
容器の中で花同士がぶつかっていた
花を立てずに寝かせて乾燥した
シリカゲルの量が少なかった
ポイント:
花の形を保つには、「全方向から支える」ことが重要です。シリカゲルを底→花→上からふんわりかぶせるようにして、花を優しく包み込みましょう。
失敗5:香りがなくなってしまった
原因例:
シリカゲル乾燥は香り成分も一緒に吸収してしまうため
ポイント:
実は、シリカゲル乾燥は見た目重視の方法です。香りを残したいなら、ハンギング(吊るし)乾燥の方が適していることも。
これらの失敗は、どれも「ちょっとしたコツ」を知らないがために起こるものです。次章では、なぜこれらの失敗が起こるのかをもう少し深く掘り下げていきます。
第3章:なぜ失敗するのか?原因を徹底分析
前章で紹介した失敗例の背景には、共通する原因がいくつかあります。
この章では、それぞれの失敗の根本的な理由を詳しく解説し、どうすれば防げるのかを明らかにします。
原因1:シリカゲルの吸湿力が落ちている
よくあるミス:
使い古したシリカゲルを再利用した
保管時に湿気を吸ってしまった
青色シリカゲルがピンク色になっていたのに使用した
解説:
シリカゲルは何度も使えるとはいえ、完全に乾燥した状態でなければ意味がありません。
青色のものは色で吸湿状況が分かりますが、白色タイプは見た目で判断できないため、特に注意が必要です。
対策:
使用前に電子レンジやフライパンで再生(約600Wで1分加熱を数回など)
湿度の低い場所で保管
定期的に新しいものに入れ替えるのも◎
原因2:花を埋める量・配置のミス
よくあるミス:
シリカゲルの量が少なすぎた
花同士が重なっていた
上からシリカゲルを雑にかけた
解説:
花全体を均一に包み込むようにシリカゲルで覆う必要があります。特に花びらの間や奥にシリカゲルが入りきっていないと、乾燥ムラやカビの原因になります。
対策:
花を1つずつ分けて乾燥させる
シリカゲルをスプーンなどで静かにふりかける
上からだけでなく、横からも詰める工夫を
原因3:乾燥時間が短すぎる/長すぎる
よくあるミス:
焦って数日で取り出してしまった
忘れて2週間以上放置した
解説:
乾燥時間が短いと、水分が残って変色やカビの原因に。逆に、長すぎると花の色があせたり、形が固くなりすぎて割れやすくなることがあります。
対策:
一般的な目安は小さな花で3〜5日、大きな花で7〜10日
状態を途中でチェックする(軽く取り出して触ってみる)
原因4:適していない花材を使っている
よくあるミス:
水分が多い花を選んでしまった(チューリップ、ガーベラなど)
花びらが薄く柔らかすぎる花を使用
解説:
すべての花がシリカゲル乾燥に適しているわけではありません。花の厚み、繊細さ、水分量によって、向き不向きがあります。
対策:
初心者はスターチス、ミニバラ、千日紅、カスミソウなどから始める
初めての花材は、少量でテストしてみる
このように、失敗のほとんどは「シリカゲルの扱い方」や「花材の選び方」が原因です。
次章では、これらの失敗を回避するための具体的なテクニックやコツを詳しく紹介していきます。
第4章:成功させるための具体的なコツとテクニック
シリカゲルでのドライフラワー作りは、ちょっとしたコツを知っているかどうかで仕上がりが大きく変わります。
ここでは、初心者でも失敗しにくい具体的な方法を丁寧に解説します。
コツ1:シリカゲルは「新品」か「完全に再生済み」のものを使用する
ポイント:
使用前に必ず吸湿力をチェック
→ 青色タイプなら「青」であることを確認
→ 白色タイプなら、数ヶ月前の開封品は避ける再生方法:
電子レンジなら耐熱皿に平らに広げて600Wで1分×数回(途中でかき混ぜる)
フライパンで弱火加熱(焦がさないよう注意)
コツ2:密閉できる容器を使う
理由:
空気に触れると、シリカゲルが花ではなく空気中の水分を吸ってしまうため。
おすすめ容器:
タッパー(しっかりフタが閉まるもの)
ガラス製の保存瓶(パッキン付き)
空気を抜けるジップロック式の袋(ただし押し潰し注意)
コツ3:花の事前処理を丁寧にする
手順:
摘んだ花はすぐに使用しない
水揚げ(数時間水に挿す)してから使うと仕上がりが良い
花の表面についた水分は完全に拭き取る
ティッシュや布でやさしく
茎を2〜3cm程度にカットしておくと扱いやすい
コツ4:シリカゲルの埋め方は「やさしく、隙間なく」
ステップ:
容器の底に1〜2cmのシリカゲルを敷く
花を1輪ずつ、立てた状態で置く(寝かさない)
スプーンなどで、そっと上からふりかける
花びらの間や下側にもまんべんなくシリカゲルが入るようにする
※この工程で力を入れすぎると、花が潰れたり変形するので注意!
コツ5:乾燥の目安とチェック方法
目安時間:
小花(千日紅・カスミソウなど):3〜5日
中型の花(ミニバラなど):5〜7日
大型の花(バラ・ヒマワリなど):7〜10日
チェック方法:
軽く持ち上げて、重みがないか/冷たくないかを確認
花びらがパリッと硬くなっていればOK
コツ6:完成後の保存と飾り方
保存:
直射日光と湿気を避ける(色あせ・カビ防止)
乾燥剤入りの箱や瓶で保管すると長持ち
飾り方:
壁掛け、ガラスドーム、フォトフレームなど
スプレー式の保護コート(ドライフラワー用)をかけると色持ちアップ
これらのテクニックを押さえておけば、シリカゲルを使ったドライフラワー作りでの失敗はぐっと減ります。
次は、「どんな花を選べば失敗しにくいか?」をテーマに、初心者におすすめの花材をご紹介します。
第5章:初心者でも失敗しにくいおすすめの花材
どんなに手順を守っていても、選ぶ花材によって成功率は大きく変わります。特に初心者は、乾燥しやすく、形や色が崩れにくい花を選ぶのが成功のカギです。
この章では、シリカゲルでのドライフラワー作りに向いている花材5選を詳しく紹介します。
1. スターチス(リモニウム)
特徴:
小花が集まった形で、色あせにくい
茎もしっかりしていて扱いやすい
ピンク・紫・白・黄色などカラーバリエーション豊富
メリット:
自然乾燥でも美しく仕上がるほど乾燥向き
シリカゲル使用時も失敗が少なく、初心者に最適
2. ミニバラ(スプレーバラ)
特徴:
通常のバラより小さく、花びらがしっかりしている
1本に複数の花がつくのでコスパも◎
メリット:
乾燥後も色が比較的よく残る
花の厚みと大きさのバランスが良く、変形しにくい
※大輪のバラよりも、ミニバラの方が成功率が高いです。
3. 千日紅(センニチコウ)
特徴:
丸い球状の小さな花
ピンク・白・紫などの色合いが可愛らしい
メリット:
非常に乾燥に強く、カビや変色のリスクが低い
形が崩れにくく、長期保存にも適している
4. アジサイ(特に小型の西洋アジサイ)
特徴:
花びらが繊細ながら、ボリューム感がある
青、紫、緑など、独特のグラデーションが美しい
メリット:
一部の種類(西洋アジサイや秋色アジサイ)は乾燥に強く、色残りも良好
リースやアレンジメントに重宝される花材
※梅雨どきの生花は湿気を多く含むので、乾燥前の水分処理を丁寧に。
5. カスミソウ
特徴:
極小の白い花がたくさんついている繊細な花
他の花との組み合わせにも使いやすい
メリット:
軽くて乾きやすく、短時間で仕上がる
ボリュームが出せるので、アレンジしやすい
補足:避けたほうがよい花材(初心者向けでない花)
花の名前 | 理由 |
---|---|
チューリップ | 花びらが薄くて変形しやすい |
ガーベラ | 花芯が崩れやすくカビやすい |
ダリア | 水分が多く、乾燥に時間がかかる |
ラナンキュラス | 花びらが重なっており、ムラになりやすい |
まずは「扱いやすく、成功しやすい花材」を選ぶことで、ドライフラワー作りのハードルは一気に下がります。
慣れてきたら、少し難易度の高い花にもチャレンジしてみるのも良いでしょう。
ドライフラワー作り、シリカゲルで失敗した理由とは?:おわりに
シリカゲルを使ったドライフラワー作りは、正しい知識と丁寧な手順があれば、誰でも美しく仕上げることができます。
しかし一方で、「色がくすんだ」「形が崩れた」「カビが生えた」などの失敗談も多いのが事実です。
本記事では、「なぜ失敗するのか?」「どうすれば防げるのか?」という視点から、
シリカゲルの正しい扱い方
花の選び方と準備方法
乾燥工程の注意点
初心者におすすめの花材
などを詳しく解説してきました。
失敗は成功のヒント
もし過去に失敗した経験があっても、原因を知れば、次は成功につながります。ドライフラワー作りは「手間をかけた分だけ美しく仕上がる」クラフトです。
完成した花を飾るたびに、その努力と工夫が形になって残るのも魅力の一つです。
まずは気軽に、1輪からでも始めよう
初心者の方は、ぜひ今回紹介した「スターチス」や「ミニバラ」など、扱いやすい花から試してみてください。
100均でも小分けのシリカゲルやタッパーは手に入るので、気軽に、まずは1輪だけ挑戦してみるのもおすすめです。
🌸 ドライフラワーは、時間を閉じ込める魔法のようなアート。
あなたの手で、大切な花を美しく残してみませんか?