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第1章:はじめに
押し花は、草花の美しさを長く楽しむための伝統的な手法です。中でも、夏を彩る「朝顔(あさがお)」は、その鮮やかな色合いと柔らかい花びらで、押し花にぴったりの花材のひとつです。
最近では、家庭にある「キッチンペーパー」と「重し(辞書や本など)」を使って、誰でも簡単に押し花を作る方法が注目を集めています。
小学生の自由研究としても人気があり、また、手作り雑貨やインテリアとしても幅広く応用ができます。
この記事では、「朝顔」「押し花」「キッチンペーパー」という三つのキーワードを軸に、以下のような内容を丁寧にご紹介していきます。
押し花に適した朝顔の選び方
キッチンペーパーを使った押し花の基本手順
押し花を使ったアレンジ例
保存方法と失敗しないコツ
押し花作りが初めての方でも安心して挑戦できるよう、写真がなくてもわかりやすい手順とポイントを交えて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
第2章:朝顔を選ぶポイント
押し花に適した朝顔を選ぶことは、美しく仕上げるための第一歩です。同じ「朝顔」でも、品種や花の状態によって押し花の仕上がりが大きく変わってきます。
ここでは、朝顔を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。
押し花に向いている朝顔の品種と色
押し花におすすめなのは、花びらが薄く、色の発色が良い品種です。代表的な品種としては以下のようなものがあります。
日本朝顔(和朝顔)
花びらが柔らかく、青や紫、白など発色が鮮やか。特に青系の朝顔は押し花にすると美しく仕上がります。西洋朝顔(ヘブンリーブルーなど)
色が濃く、インパクトがありますが、花びらがやや厚めなため、乾燥に少し時間がかかります。ただし、グラデーションが美しいため、作品に個性を出したい方にはおすすめです。絞り咲きや斑入りの朝顔
模様入りの花びらは、仕上がりが芸術的で一味違う印象になります。
摘み取りのタイミング
押し花にする朝顔は、開きたての状態で摘み取るのが理想的です。
朝の8時〜10時頃がベストタイミング
朝顔は朝に開花し、午後にはしぼんでしまう性質があります。できるだけ花びらがピンと張っている時間帯に摘み取りましょう。雨上がりや湿気の多い日は避ける
水分を多く含んだ状態で押すと、カビや変色の原因になります。
花以外の部分もチェック
押し花は花だけでなく、茎や葉も一緒に押すことで作品の幅が広がります。ただし、以下の点に注意が必要です。
茎や葉が太すぎると乾きにくい
細い部分を選び、カッターなどで薄くスライスするのも一つの方法です。葉の虫食いやシミは避ける
仕上がりに影響するため、なるべく状態の良いものを選びましょう。
朝顔の選び方ひとつで、押し花の完成度がぐっと高まります。次章では、実際にキッチンペーパーを使って朝顔の押し花を作る手順をご紹介します。
第3章:キッチンペーパーで作る押し花の基本手順
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特別な道具を使わずに、家庭にある「キッチンペーパー」を使って、手軽に朝顔の押し花を作る方法をご紹介します。丁寧に行えば、初めてでもきれいな押し花を作ることができます。
1. 必要な道具と材料
まずは、準備するものを確認しましょう。
朝顔の花(新鮮なもの)
キッチンペーパー(吸水性が高いもの)
新聞紙(数枚)
厚手の本または雑誌(重しとして)
ハサミまたはピンセット(花の整形用)
段ボール(必要に応じて)
2. 押し花の作り方:手順解説
Step 1:朝顔の花を整える
摘み取った朝顔の花を、押しやすい形に整えます。
花びらを軽く広げ、重なりが少なくなるように配置すると、乾燥後に美しい仕上がりになります。ピンセットを使うと細かい調整がしやすいです。
※必要に応じて、茎や葉も薄くカットしておきます。
Step 2:キッチンペーパーに挟む
キッチンペーパーの上に花を置き、形を崩さないようにもう1枚のキッチンペーパーを上からそっとかぶせます。
ポイント:
花びらが重ならないように注意する
花が直接新聞紙に触れないようにする(インクが移る恐れあり)
Step 3:新聞紙と本で重しをする
キッチンペーパーごと、新聞紙で包み、その上から厚手の本や雑誌などで重しをします。重しは均等にかかるよう、数冊重ねてもOKです。
※湿気がこもらないよう、通気性を確保するために、新聞紙や段ボールを挟むのも効果的です。
Step 4:数日〜1週間、乾燥させる
日陰で風通しの良い場所に置き、3日〜1週間程度そのまま放置します。途中でキッチンペーパーや新聞紙が湿っていたら、交換することでカビを防げます。
Step 5:完成の確認
花びらがカラカラに乾き、手で触っても形が崩れない状態になったら完成です。色合いも鮮やかに残っていれば成功!
補足:電子レンジを使った時短方法も
忙しい方やすぐに仕上げたい場合は、電子レンジを使った押し花の方法もあります。ただし、失敗しやすいため、まずはキッチンペーパーと重しを使った基本の方法をおすすめします。
このように、キッチンペーパーと身近な道具を使えば、特別な機材がなくても美しい押し花が簡単に作れます。
次章では、仕上がりをより美しくするための「失敗しないコツ」や「注意点」についてご紹介します。
第4章:失敗しないためのコツと注意点
朝顔の押し花はとても繊細な作業です。ちょっとした工夫や気配りで、仕上がりの美しさが大きく変わります。
ここでは、初心者が特に気をつけたいポイントや、よくある失敗例とその対策をまとめました。
1. 花の水分をしっかり取る工夫
朝顔は水分を多く含んでいるため、湿ったまま押してしまうとカビや変色の原因になります。以下の方法で水分を軽減しましょう。
摘み取り後、5〜10分程度、陰干し
風通しの良い場所で花を乾かしてから押すことで、水分をあらかじめ飛ばせます。ティッシュやキッチンペーパーで軽く押さえる
花びらに優しく触れるようにして、余分な水分を拭き取ります。強く押すと変形するので注意。
2. 色がきれいに残る押し方のポイント
押し花にすると、花の色が褪せてしまうことがよくあります。特に青や紫の朝顔は、湿気や熱で色が変わりやすいので、次の点に注意しましょう。
直射日光に当てない
乾燥中も保存中も、日光は色あせの大敵。必ず陰干し・日陰保存を心がけましょう。花びらを広げすぎない
自然なカーブを活かして押したほうが、色ムラや破れを防げます。こまめに紙を取り替える
キッチンペーパーや新聞紙が湿ってきたら、すぐに新しいものに交換しましょう。湿気を放置すると、黒ずみや変色の原因になります。
3. 押すときの力加減に注意
押し花というと「ぎゅっと押せば良い」と思われがちですが、力を入れすぎると花がつぶれてしまい、形が崩れてしまいます。
重しの本は1~2冊程度からスタート
薄い花びらには、軽めの重しでじっくり押すほうが形が保たれます。途中で一度チェックする
数日後に一度開いて確認し、問題がなければ再びセットして押し続けると、失敗が減ります。
4. 清潔な材料を使う
古い新聞紙はインク移りのリスク
新しい新聞紙か、できれば白紙に近いものを使用すると安全です。キッチンペーパーも無香料・無着色がベスト
香り付きや色つきのものは、花に染み込んで変色することがあります。
以上のような注意点を守ることで、押し花作りの失敗を大きく減らすことができます。特に朝顔のように繊細な花の場合は、少しの気遣いが作品の美しさに直結します。
第5章:押し花を使ったアレンジ例
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せっかく作った朝顔の押し花、そのままにしておくのはもったいないですよね。押し花は、ちょっとした工夫で身近なアイテムに華やかさを加えることができます。
この章では、初心者でも手軽にできる押し花の活用アイデアをいくつかご紹介します。
1. 手作りミニカードに添える
押し花+メッセージカードの組み合わせは、誰かに贈るときにとても喜ばれます。
無地のハガキや厚紙に押し花を貼るだけで、オリジナルカードが完成。
ボンドやスティックのりで貼り付け、乾いたらラミネートや透明テープでコーティングすると長持ちします。
活用シーン例:
誕生日カード、季節のご挨拶、お礼状など。
2. ブックマーク(しおり)として活用
読書好きな方には、押し花を使ったしおり作りがおすすめです。
厚紙に押し花を配置し、ラミネート加工または透明テープでコーティングします。
穴を開けてリボンを通すと、プレゼントにもぴったり。
ポイント:
ラミネーターがなくても、100均のラミネートフィルムやOPP袋でも代用できます。
3. フレームに入れてインテリアに
美しく仕上がった押し花は、アート作品として飾るのも素敵です。
無印良品などのシンプルなフォトフレームに、押し花をレイアウトして入れるだけ。
背景にクラフト紙や和紙を使うと、より風情が出ます。
おすすめの配置方法:
単体で飾るのも良いですが、複数の花と葉を組み合わせてブーケ風にすると存在感が増します。
4. 子どもと一緒に工作タイム
押し花は、子どもと一緒に楽しめるアート素材でもあります。
色画用紙に貼ってオリジナルの「自然画」を作成
夏休みの自由研究にもぴったり
花の構造を学ぶきっかけにもなる
注意点:
ボンドを使う際は、花びらが透けないように少量を筆や綿棒で薄く塗るのがコツです。
5. ギフトラッピングのアクセントに
ラッピングに一輪の押し花を添えるだけで、ぐっとおしゃれな贈り物になります。
麻ひもやリボンに押し花を軽く挟む
封筒の封シール代わりに使う(マスキングテープで固定)
手作り感が伝わり、温かみのあるギフトに仕上がります。
第6章:押し花の保存方法
せっかく手間ひまかけて作った朝顔の押し花。できるだけ長く美しい状態で保存したいですよね。
しかし、押し花はとても繊細なため、保存環境によってはすぐに色あせたり劣化したりしてしまいます。この章では、押し花をきれいなまま長く楽しむための保存方法や注意点を解説します。
1. 押し花に適した保存環境
押し花の大敵は、湿気・直射日光・空気(酸化)です。
これらを避けることで、色や形を長く保てます。
湿気が少なく風通しのよい場所に保管
湿度が高いとカビやシミの原因に。梅雨時期は特に注意が必要です。直射日光を避ける
日の当たる場所に飾ると、数日で色あせてしまうことがあります。
カーテン越しのやわらかい光程度が理想的です。密封して空気と遮断
酸化によって退色するのを防ぐため、できれば密封保存が望ましいです。
2. ラミネートやコーティングで保護
ラミネート加工や透明な保護フィルムは、押し花を長持ちさせる強力な味方です。
ラミネートフィルム
熱を使って密封できるため、湿気や空気からしっかりガード。しおりやカードに最適。OPP袋やクリアポケット
手軽に使える透明袋に入れて、封をするだけでも保護効果があります。UVカットのアクリルフレーム
アートとして飾る場合は、紫外線カットのフレームを使うと色あせしにくくなります。
3. 保存用のファイルやアルバムを活用
「観賞用ではなく、コレクションとして残したい」という方には、以下のような収納方法がおすすめです。
押し花専用アルバム(または硬質カードケース)
市販の押し花保存用ファイルや、トレーディングカード用ケースを使うと便利。個別に収納でき、劣化を防ぎやすいです。無酸性紙(アシッドフリー)の使用
通常の紙は酸性で、長期的には押し花の色を変化させる原因になります。可能であれば、アシッドフリーの紙素材を使いましょう。
4. 定期的な状態チェック
どんなに丁寧に保存しても、年月が経てば自然と劣化は進みます。大切な作品ほど、定期的にチェックしてあげましょう。
色あせやシミが出ていないか確認
湿気を感じたら乾燥剤を追加する
汚れたフィルムや袋はすぐに交換
5. 保管と鑑賞を両立する工夫
「飾りたいけれど、傷ませたくない」という場合は、季節ごとに作品を入れ替えるのも一つの方法です。
春夏は明るい場所に新作を飾る
秋冬は涼しい収納場所に保管し、次シーズンにまた楽しむ
このようにしておくと、作品を劣化させずに楽しむことができます。
押し花の保存は、少しの工夫と気配りで、作品の寿命をぐんと延ばすことができます。思い出の花を大切に残すためにも、適切な保存方法を意識してみてください。
第7章:まとめ|朝顔の押し花をキッチンペーパーで造る楽しさ
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この記事では、自宅で手軽に始められる押し花づくりとして、キッチンペーパーを使った朝顔の押し花の作り方をご紹介しました。
振り返り:押し花作りのポイント
朝顔は開花直後の新鮮なものを選ぶことで、発色の良い押し花ができます
キッチンペーパーと重しを使った簡単な手法で、特別な道具がなくても押し花が作れます
水分管理と色あせ対策が、仕上がりと保存の美しさを左右します
作った押し花は、カード・しおり・アート・子どもとの工作など多彩な用途に活用できます
保存方法を工夫すれば、季節の思い出や手仕事の記録を長く楽しめます
自然と向き合う、癒しの時間
朝顔の花を摘み、ひとつひとつ丁寧に押していく作業は、日常の慌ただしさを忘れさせてくれる癒しの時間でもあります。
季節ごとの植物と触れ合いながら、手を動かし、想いを形にしていく。そのプロセスには、デジタルでは味わえないアナログのぬくもりがあります。
さあ、あなたも始めてみませんか?
特別な材料は必要ありません。必要なのは、身近な自然・キッチンペーパー・少しの好奇心だけです。
夏の朝顔を押し花に変えることで、ほんの少し「季節を閉じ込める」楽しさを感じていただけたら幸いです。

